これは、冤罪でシドナ鉱山にぶち込まれてしまったサルモール兵士のなりきりRPストーリーである。
前回の話はこちら
エルトリス殺人事件でシドナ鉱山へ強制収容されたわたくし、ルマンドである。
いかにもな感じの看守だが、やって来るのは週に1度きり。
その間、監獄内で何があっても関与せず、銀の採掘量に応じて支給する飯の量を変えるだけだという。
ゆえに採掘をサボっていれば、食事にありつけない。
看守はラクな上に、囚人を自主的に働かせる上手く出来たシステムだよまったく。
もちろん、こんな所に長居は無用。何せ私は冤罪なのだからね!
きっと今回も、オンドルマール様が裏で手を回して下さるに違いない。
まあ、前回のコソ泥と違って、今回は殺人容疑なので、多少手続きに時間がかかっているのだと思う。
そういえば、話は「マダナック」に聞けと、市警隊の奴らに言われたのだが?
囚人:「マダナックはフォースウォーンの王だ。まだ希望を持ってるなら可哀想だが、ここに来た時点でもう誰も逃げられない。今のうちマダナックに取り入っておくべきだな。生き残りたい奴はみんなそうしてる」
なんと!ここはフォースウォーンの巣窟か!?
私にフォースウォーンの仲間になれと言っているのなら冗談よしこだ!!
私はつい先日、超難関を突破し、念願のサルモールに合格したばかりなんだぞ!
この将来有望なハイエルフが、こんな所で人生オワコンにしてたまるか!
囚人:「そうやって誰しも初めは威勢がいいんだ。でもな、何年もここにいれば気持ちが変わる。いいや、明日にでも心が折れちまうかもな」
腐っていても仕方がないので、真面目に採掘した。
効率の良い採掘法を編み出し、ありったけの銀を掘り尽くしてやった。
(つるはし二刀流で素早く採掘できると発見!)
サボるな囚人!貴様らのせいで飯の量が減ったらまじ殺すぞ!!
だがすぐ疲労困憊した。
手足のしびれが絶望を誘う。
たしかに、こんな日も当たらず、無機質な岩と汚れた男の顔しか見えない所に居ては、気が滅入るのも時間の問題。
ああ、早く助けに来てくださいオンドルマール様!
ていうか、来てくれますよね?
まさか、見捨てたりしませんよね?
囚人共の話を聞くと、鬱に拍車がかかった。
どいつもこいつも外ではノルドから酷い仕打ちを受けてきたらしい。
囚人:「ノルドの奴らは、銀を掘る奴隷がほしいだけ。罪状なんていくらでもでっち上げる。何でもフォースウォーンのせいにしときゃ済むと思ってるのさ」
ああ、それなんとなくわかるわー。
囚人:「だからマダナックに取り入っとけって、言っただろ。あの爺さんについていけば、少なくともここからは出られる」
なんですと!?
それはもしや・・・?
マダナックは仲間となった囚人を引き連れて、脱獄を計画しているというのだ!
しかし新入りの私に、そんな大事な密事を打ち明けてしまって良いのだろうか?
囚人:「言ったろ。俺たちは終身刑だ。外に出られるってのに計画を邪魔する馬鹿がいるか?もしそんな奴がいれば、マダナックが先に殺してるさ」
ああ、なるほどそうですか。
囚人:「仲間は1人でも多いに越したことはねえ。だろ?」
ええ、まあ、そうっスけど・・・。
誇り高きサルモールが、罪人集団の一員に加わるなど、ありえない。
だが、もしオンドルマール様が助けに来てくれなかったら?
私は一生ここに捨て置かれてしまうのだろうか。
私の心は不安によって乱され始めていた。
そんな時だった。
マダナックが直々に私との面会を希望してきたのだ。
彼はオークの門番を立たせた、監獄の中でもさらに鍵をかけた独房の奥にいるという。
門番:「妙な気は起こすなよ?マダナックはお前が思っている以上に賢いからな」
門番が独房の鍵を開けた。
そこには白髪のブレトン人がいた。
あんたがマダナックか!
はめたのは貴様だろうが!市警隊から名前を聞いたぞ!
私をサルモールと知ってのことだろうな!
マダナック:「わめいたところで助けは来ない。ここでは肩書など何の意味もない」
どんなに醜悪な爺さんかと思っていたが、背筋も伸びててガタイもいい。若々しい感じすらした。
そんなマダナックは、私を見ようともせず、何やらずっと書き物をしている。
おそらく、こうやって外の仲間に向けて命令を出しているのだろう。
マダナック:「共にここから出るか、ノルドの奴隷として朽ち果てるか。エルフとてノルドが憎いはず。俺たちと来ればタロス信者だって好きなだけ殺せるぞ?」
私はフォースウォーンとなって虐殺がしたいわけじゃない!
サルモールとして平和活動に従事したいのだ!
マダナック:「お前はそんなに価値のある人物か?ただの面倒な新人だろうに。そんな奴に時間を割けるほどサルモールは暇か?」
むむむ・・・!
痛い所をついてきやがる。
マダナック:「ここで待ちたいのであれば好きにしろ。共に来ない奴は置いていく。話はそれだけだ」
たしかに、オンドルマール様が素晴らしい方だとしても、あなたと私は、まだ付き合いの浅い上司と部下。
信頼関係に絶対の自信はない。
なかなか助けに現れてくれないのは、まさか・・・?
私の心は絶望に支配されつつあった。
→第11話につづく
前回の話はこちら
エルトリス殺人事件でシドナ鉱山へ強制収容されたわたくし、ルマンドである。
いかにもな感じの看守だが、やって来るのは週に1度きり。
その間、監獄内で何があっても関与せず、銀の採掘量に応じて支給する飯の量を変えるだけだという。
ゆえに採掘をサボっていれば、食事にありつけない。
看守はラクな上に、囚人を自主的に働かせる上手く出来たシステムだよまったく。
もちろん、こんな所に長居は無用。何せ私は冤罪なのだからね!
きっと今回も、オンドルマール様が裏で手を回して下さるに違いない。
まあ、前回のコソ泥と違って、今回は殺人容疑なので、多少手続きに時間がかかっているのだと思う。
そういえば、話は「マダナック」に聞けと、市警隊の奴らに言われたのだが?
囚人:「マダナックはフォースウォーンの王だ。まだ希望を持ってるなら可哀想だが、ここに来た時点でもう誰も逃げられない。今のうちマダナックに取り入っておくべきだな。生き残りたい奴はみんなそうしてる」
なんと!ここはフォースウォーンの巣窟か!?
私にフォースウォーンの仲間になれと言っているのなら冗談よしこだ!!
私はつい先日、超難関を突破し、念願のサルモールに合格したばかりなんだぞ!
この将来有望なハイエルフが、こんな所で人生オワコンにしてたまるか!
囚人:「そうやって誰しも初めは威勢がいいんだ。でもな、何年もここにいれば気持ちが変わる。いいや、明日にでも心が折れちまうかもな」
腐っていても仕方がないので、真面目に採掘した。
効率の良い採掘法を編み出し、ありったけの銀を掘り尽くしてやった。
(つるはし二刀流で素早く採掘できると発見!)
サボるな囚人!貴様らのせいで飯の量が減ったらまじ殺すぞ!!
だがすぐ疲労困憊した。
手足のしびれが絶望を誘う。
たしかに、こんな日も当たらず、無機質な岩と汚れた男の顔しか見えない所に居ては、気が滅入るのも時間の問題。
ああ、早く助けに来てくださいオンドルマール様!
ていうか、来てくれますよね?
まさか、見捨てたりしませんよね?
囚人共の話を聞くと、鬱に拍車がかかった。
どいつもこいつも外ではノルドから酷い仕打ちを受けてきたらしい。
囚人:「ノルドの奴らは、銀を掘る奴隷がほしいだけ。罪状なんていくらでもでっち上げる。何でもフォースウォーンのせいにしときゃ済むと思ってるのさ」
ああ、それなんとなくわかるわー。
囚人:「だからマダナックに取り入っとけって、言っただろ。あの爺さんについていけば、少なくともここからは出られる」
なんですと!?
それはもしや・・・?
マダナックは仲間となった囚人を引き連れて、脱獄を計画しているというのだ!
しかし新入りの私に、そんな大事な密事を打ち明けてしまって良いのだろうか?
囚人:「言ったろ。俺たちは終身刑だ。外に出られるってのに計画を邪魔する馬鹿がいるか?もしそんな奴がいれば、マダナックが先に殺してるさ」
ああ、なるほどそうですか。
囚人:「仲間は1人でも多いに越したことはねえ。だろ?」
ええ、まあ、そうっスけど・・・。
誇り高きサルモールが、罪人集団の一員に加わるなど、ありえない。
だが、もしオンドルマール様が助けに来てくれなかったら?
私は一生ここに捨て置かれてしまうのだろうか。
私の心は不安によって乱され始めていた。
そんな時だった。
マダナックが直々に私との面会を希望してきたのだ。
彼はオークの門番を立たせた、監獄の中でもさらに鍵をかけた独房の奥にいるという。
門番:「妙な気は起こすなよ?マダナックはお前が思っている以上に賢いからな」
門番が独房の鍵を開けた。
そこには白髪のブレトン人がいた。
あんたがマダナックか!
はめたのは貴様だろうが!市警隊から名前を聞いたぞ!
私をサルモールと知ってのことだろうな!
マダナック:「わめいたところで助けは来ない。ここでは肩書など何の意味もない」
どんなに醜悪な爺さんかと思っていたが、背筋も伸びててガタイもいい。若々しい感じすらした。
そんなマダナックは、私を見ようともせず、何やらずっと書き物をしている。
おそらく、こうやって外の仲間に向けて命令を出しているのだろう。
マダナック:「共にここから出るか、ノルドの奴隷として朽ち果てるか。エルフとてノルドが憎いはず。俺たちと来ればタロス信者だって好きなだけ殺せるぞ?」
私はフォースウォーンとなって虐殺がしたいわけじゃない!
サルモールとして平和活動に従事したいのだ!
マダナック:「お前はそんなに価値のある人物か?ただの面倒な新人だろうに。そんな奴に時間を割けるほどサルモールは暇か?」
むむむ・・・!
痛い所をついてきやがる。
マダナック:「ここで待ちたいのであれば好きにしろ。共に来ない奴は置いていく。話はそれだけだ」
たしかに、オンドルマール様が素晴らしい方だとしても、あなたと私は、まだ付き合いの浅い上司と部下。
信頼関係に絶対の自信はない。
なかなか助けに現れてくれないのは、まさか・・・?
私の心は絶望に支配されつつあった。
→第11話につづく